転校生は双子くん
こういう時、いつも思うんだ。
なんで嫌いなところばっかり探すんだろう…って。
みんな話を盛り上げようとして、その人の悪いところを一生懸命さがしてる。
その人の何を知っているんだろう。
その人の全部を知っているのかな。
どうせなら、いいところを探したほうが楽しいと思うんだけどなー。
「「ね!ヨッシーもそう思わない?」」
クラスの女子たちが一斉に同意を求めてくる。
「思わないっていうかー…」
そもそも渡邊さんって誰だっけ?
わたし、その渡邊さんという人の顔も思い出せないしなー。
同意を求めるような、期待の眼差しを向けられて、どうすればいいか分からない。
知らないのに「私もそう思う!」
とは言えないしなー。
…そうか。
知らないなら、知ればいいんじゃん!
「私、分からないから渡邊さんと話してくるよ!」
「ちょっと!ヨッシー!?」
私は、教室を駆け出した。
噂の渡邊さんと話す為に。