転校生は双子くん

「ほら。やるよ」


差し出されたコロッケパン。


クリリン!!あんたいい奴や~!!



「いいの?」


「…別に。余っただけだから…」


「じゃあ、代わりにキャンディーを……」


「いらねぇって!!お前は大阪のオバちゃんか!!」


「ありがとね~クリリン」


「だからクリリンって言うな!!」



立ち去っていくクリリン──…。


私はあなたが救世主に見えるよ…。








5時間目──…



「おい、吉本。何してる?」





「…遅弁です」


クリリンから貰ったコロッケパンを食べているところを、タモちゃんに見つかってしまった。


「アホか!!昼休みに食え!」


「私のせいじゃありません!猫のせいです!」


「何、わけ分からんこと言ってるんじゃ!」


「下敷きに隠れて食べてたのに…。なんでバレちゃったんだろう…?」


「そんな透明の下敷きで食べてたら一発で分かるわ!アホ!とにかく没収!!」


パンを奪われてしまった。



「せっかくクリリンに貰ったのに~!!」



「クリリンって誰じゃ!!」






──この時、私はまだ気づいてなかったんだ…。



あの時、裏庭を覗く人影があったことに……。







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