転校生は双子くん
何とか修学旅行に連れて行ってもらえることになった私は、金沢駅に到着した。
「へぇ…結構、都会だねー」
隣にいる香織が感心したように言った。
古いお屋敷街の並んだ、古い街を想像していたけど、ビルが建ち並び、交通量の激しい都会であったことに驚く。
「はい、じゃあこれからバスに乗って移動するから」
金沢の観光には車での移動以外に、バス利用が主だ。
修学旅行生のわたしたちは、貸切の観光バスを利用する。
大規模な敷地の中に、美しい庭園が広がる兼六園。
横に長い金沢城。
建物自体が芸術であるかのような21世紀美術館。
シュールなアートに首を傾げつつも、写真をたくさん撮った。
1日目の観光が終わり、宿泊先の旅館に到着。
有名な加賀料理に舌鼓をうち、大浴場で温泉に入り、若者らしくキャッキャッはしゃいだ。
修学旅行の夜、部屋でやることの定番といえば…
枕投げ
トランプ(もしくはウノ)
恋バナ
そして怪談である…
「……この話を聞いたら、絶対その日の夜に夢を見るんだって。
で、女の子の小指を持って、手順通りに元の場所に小指を戻さないと、その夢から一生抜けられないらしいよ……」
同部屋の女の子が、怪談話の最後にそう付け加えた。
ギャーーー!
何それ!!もう話聞いちゃったじゃん!!
夢から一生抜け出せないなんて嫌だーー!
「みっちゃん!手順ってなにさ!どうすればいいのーー!?
本当にその夢見ちゃうの!!?」
みっちゃんが手順を説明してくれたが、忘れることを特技とする私には、覚えることも困難だった。