転校生は双子くん
「どこか行きたいところはある?」
チャーリーの問いかけに考える。
さっき香織に新潟案が却下されたし……。
うーん……。
「ないなら俺に任せてくれるかな?
金沢には何回か行ったことがあるんだ」
まともに観光マップを読んでいなかった私は、チャーリーに任せることにした。
「まずは、にし茶屋街にいこっか。
老舗の茶店が建ち並んでいて、抹茶や和菓子を出してくれる。
お汁粉とかあんみつなんかを出している甘味処もたくさんあるよ。
あと、妙立寺っていうお寺もオススメだね」
抹茶…和菓子…お汁粉…あんみつ……
私に断る理由なんて1つもなかった。
目の輝きが増した私を見て、チャーリーはくすくす笑い、「じゃあ行こっか」と歩き出した。
「ここからタクシーに乗っていくよ」
「タクシー!?」
ふつう修学旅行って言ったら、路線バスか、電車か、徒歩移動じゃないの!?
現に、周りを見渡すと、他の生徒たちはバス停でバスを待っていたり、歩いて移動している。
「せっかくのデートだからね。
両親に女性をエスコートする時は、抜かりなくって教育されている。
おいで。タクシーが着たみたいだ」
ほえーー。
女性って私のことかい?
何だか慣れない単語だわ…。
チャーリーは、完璧なエスコートで私をタクシーに乗せてくれた。
ここまで来ると、まるで自分がお嬢様になったみたい…。