転校生は双子くん
「ここが、にし茶屋街。
金沢三茶屋街のなかでも、にし茶屋街が一番新しいんだ」
昔ながらの、格子戸の建物が軒を連ね、しっとりと落ち着いた雰囲気を醸し出している。
所々にしな垂れる柳の木が、また街の雰囲気と合っていて素敵だ。
「そして、ここが妙立寺。
忍者寺とも呼ばれていて、中には色んな仕掛けがしてある」
チャーリーの言う通り、お寺の中には様々なカラクリが詰まっていた。
掛け軸の後ろに抜け穴
隠し階段
落とし穴階段
ニ枚戸
私達は、お寺の中をはしゃいで散策した。
妙立寺を出たところに、変わったお土産やさんを発見した。
手裏剣、マキビシなど忍者グッズが売っている。
そこで私はマキビシを購入した。
「良子ちゃん、マキビシを買ってどうするの?」
「タモちゃんに追いかけられたとき、これを撒いて逃げるの!」
私はジェスチャーで、マキビシを撒いたふりをしてチャーリーを笑わせた。
その後も、情緒溢れる町並みを散策し、写真もたくさん撮って歩いた。
「ちょっと休憩しようか」
茶屋街の中にある茶店で私はあんみつを、チャーリーはところてんを食べて一服する。
「金沢って不思議な街だね~。
初め、金沢駅に着いたときは都会で、東京と変わらないじゃん!って思ったけど…」
「そうだね。金沢は、今と過去が隣り合わせしている街なんだ。
どの街もそうだと思うけど、ここまでギャップがある街は珍しい」
ビルが建ち並ぶ都会から、一歩脇道に入っただけで、小京都を呼ばれる所以を窺い知れるような、昔ながらの古いお屋敷街に変貌する。
まるで、現在から過去へ、タイムスリップをしたようだ。