転校生は双子くん
チョロチョロと流れる獅子おどしの水音─…。
淡く流れる三味線の音色─…。
別棟に設けられた茶屋は、とても静かな空間だった。
横一列にならんだ席からは、目の前に美しい庭園が鑑賞できる。
「秋の生菓子でございます」
紅葉をイメージされた生菓子は、モミジ色とイチョウ色との2色が混じりあい、コントラストが美しい。
そのお菓子自体が、1つの芸術作品のようだ─…。
抹茶も奥深い味がして、ホッとする。
やっぱり日本人に生まれてきてよかったねぇ…。
生菓子を堪能し、抹茶で一息ついて、お店の外にでた。
太陽の日が沈みかけ、辺りが薄紫色に包まれている。
「ああ。ちょうどいい頃だね。
そろそろ、別の顔を覗かせるよ」
すると、縦に並んだ建物の電気が一斉につき始めた。
ちょうちんの灯り、古びた外灯、格子戸から漏れる光……
淡いうす紫色に、ぼんやりとした灯りが浮かんで、ほのかに辺りを照らす。
「…わぁ、綺麗…」
まるで、おとぎ話の世界に入り込んだような、不思議な雰囲気。
現実を感じさせない、ユラユラとした空間から別世界へ連れ込まれてしまいそうな危うさすら感じさせる。
「今日は楽しんでもらえたかな?」
チャーリーの問いかけに、わたしは強く頷いた。
「うん!すごく楽しかったよ!チャーリー、ありがとね!!」
チャーリーは私の返答に、微笑んで応えた。