転校生は双子くん
「ギャッ!」
誰もいないと思っていたのに、背後から人の声が聞こえて飛び上がる。
振り向くと、クスクス笑ったチャーリーがいた。
「チャーリー!驚かさないでよ!」
「ごめん、ごめん。あまりにも楽しそうにしていたらさ」
チャーリーの言葉に顔が赤くなる。
見られてたんだ─…。
大声で唄って、ノリノリで踊っていたのも…。
恥ずかしいじゃないの!!
「良子ちゃんはいつも楽しそうにしているね。
片付けなんて皆が嫌がる仕事なのに」
「つまらない事も、どうせなら楽しくしたほうが得でしょ?
両親に”どんな苦難も、楽しくするのは自分次第”って教えてもらったんだ」
私が答えると、チャーリーは一瞬、目を丸くしてから、ゆっくりと微笑んだ。
「良子ちゃんは、いいご両親に育てられたんだね」
両親─…。
この言葉を聞いて、昼間見たクリリンの寂しそうな遠い目をした横顔が頭に蘇る。
”クリリンのご両親は文化祭に来ないの?”
”あの人たちは絶対こない。そもそも文化祭があること自体しらねぇよ…”
”根強い黒いオーラが見えます。長い間に作られてきたオーラでしょう”
クリリンがそうであれば、チャーリーにとっても触れてはいけない事なのかもしれない。
でも、私は思い切って、聞いてみることにした。
「チャーリーのご両親はどんな人なの?」