転校生は双子くん
─冷え切った家庭。
小さい俺達は、その冷たさに身を縮めて暮らしていた。
唯一の救いは、俺たちが双子で産まれてきたことだ。
同じ境遇にいる同志
この世で、自分の気持ちを理解してくれる自分の片割れ。
…俺だけじゃない。
そう思えるだけで、どんなに救われたか分からない。
母親の機嫌が悪かった日の夜は、布団の中で涼介とうずくまって寝た。
「…ママ、怒ってたね…」
「うん…恐かった…」
「きっと、パパが帰ってこないからいけないんだ」
「でも、きっと明日は大丈夫だよ…」
「パパも帰ってきて、ママも笑ってて、一緒にご飯が食べられるよね」
「うん。明日は大丈夫」
「大丈夫」
大丈夫、大丈夫………
傷ついた心をお互いに慰め合い、励ましあった。
涼介は俺にとって、いなくては生きていけない存在だった。
しかし、ある日、父と母が何気なく言った一言によって、その絆までもが奪われたんだ─……。