脱出ゲーム ~二人の秘密の能力~
この船の秘密
「ば、爆弾!?」


その不気味な言葉に思わず手紙を投げ捨ててしまう。


爆弾が仕掛けてあるって…、ウソに決まってるよね?


そう思いながらも慌てて時計を確認すると、あと3時間もない。


しかも、気味の悪い文章…。


「爆弾はウソじゃないみたいだぞ」

「えっ?」


私の心を読んだかのように、廉が声を掛けてくる。


「このクローゼットの中にもあるみたいだし」


廉がクローゼットの奥の方にある、黒い箱みたいなのを指した。


なんだか触れてはいけない真っ黒いオーラみたいのを発している気がする。


「これが、爆弾?」


「多分な。あ、絶対触るなよ。爆発するから」


そんな言葉を聞いて、慌てて爆弾から離れた。


本当にこれが爆弾なのかは分からないけど、今のこの状況から見てそう言わざるを得ないことに気がついた。


「じゃあ、もしかしてさっきの緊急事態って言うのも」


「多分、この手紙の犯人による計画だろうな」


「そんな、じゃあどうしたら…」


爆弾なんかが爆発したら、命は助からない。


私、このまま、ここで死んじゃうの…?


不吉な結末が頭を通り過ぎる。


と、その時、廉が真っ直ぐとした瞳をぶつけてきた。


「俺らが犯人のもとに行くしかない」


「えっ…」


まさかの答えに私は一瞬動揺せざるを得なかった。


「だって、書いてあるだろ。爆弾が爆発する前に僕のもとにたどり着け。それが君たちの希望となるだろう。って。黙ってても死ぬんだ。なら、やってみるしかないだろ?」


ニッと笑みを浮かべながら自信満々に廉が答える。


あまりにも、自信満々すぎて思わず吹いて笑ってしまった。


それと同時に不安もどこかに飛んでいく。


「…そうだね。やるしかない!」


そう言った瞬間、ハッとした。


瀬那のこと、すっかり忘れてたっ!


でも、ここで瀬那とテレパシーをすると廉に何か気付かれそうだし…。


私、結構声に出しちゃうんだよね…。


よしっ…!


「あ、ごめん。私ちょっと顔洗ってくるね。洗面所借りまーす」

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