脱出ゲーム ~二人の秘密の能力~
案の定というか、期待通り開いていた扉を開けると、そこには大っきなスクリーンと高級感のある赤いたくさんの座席が並んでいた。
それはまさしく、よく見る映画館の光景でしか無かった。
「本当に映画館だ!」
本当に船の中?と疑いそうになる。
「…にしても薄暗いな。これじゃあ様子が分かんないぞ」
確かに映画館というだけあって、懐中電灯を付けても足元がギリギリ分かるくらいの暗さ。
スクリーンの横にある緑に光るデジタル時計が目立って見える。
「電気とかないの?」
「ここだと誰か客が着けてしまう可能性があるから、そこの奥にあるドアの向こう、保管庫にある」
と廉が言うので足元に気を付けながらドアの前へと進む。
…けど、
「…あっ、開かないみたい」
カギがかかってるようで開かなかった。
「またかよ…」
「スクリーンの電源もそこの部屋なの?」
「いや、スクリーンは…」
廉が座席と座席の間にある階段を上っていく。
一番後ろの座席の奥には、学校の机くらいの大きさの小さな台とその上に白い箱みたいなのがあった。
「これがスクリーンに画面を映す機械だ」
「へえ、こんなに小さいんだ!」
私が小さく拍手をすると、廉は箱の上に取り付けられたスイッチみたいなのを押した。
その瞬間、スクリーンが光って目にしみるほどの強烈な光が私を襲った。
「まぶしっ!」
「ちょっと明るすぎたな…」
廉がダイアルみたいなので光を調節して、ようやく目を開けられたのはしばらくしてからだった。
「まだ目がちかちかする…」
「悪かったな…。ま、これで全体が見渡せるようになったな」
確かに、廉の言う通りスクリーンの明かりのおかげでさっきよりもだいぶ明るくなった。
これなら、懐中電灯も必要ないかもね。
…って、ううん?
「ねえ、スクリーンに何か書いてない?」
うっすらだけど、スクリーンには何かが映し出されているのが私には見えた。
「え?…あ、本当だ。もう少し明るさと焦点を調節したら見やすく…」
そう言って、廉がまたダイヤルを回すと今までぼやけていたピントが合って、完全に文字が見えた。