脱出ゲーム ~二人の秘密の能力~
「あー、もう!全然思い出せない!」
頭を抱えながら、私はどすんと近くの座席に座る。
どうにかキーボードの並びを思い出そうとふんばってみたものの、全くもって思い出せなかった。
そもそも、私脱出ゲームしかしないから、キーボードなんてあんまり使わないし…。
「とりあえず、ふたつ目の暗号を解いてみようぜ。その内何か思い出せるかもしれねぇし」
「んー、だね。えーっと、ふたつ目はTEL 14:51+13:17 ヒント:時計を見てみよう …って何これ!」
私は思わず席を立ち上がった。
明らかに難しそうじゃん…。
「TELってことは暗号の答えの番号に電話するってことなのか?」
「電話って、スマホも無いなら暗号が解けても無理じゃないの?」
「いや、電話ならあそこにある」
そう言った廉の目線の先には、壁にかけられた固定電話があった。
「ま、繋がるかは分からないけどな。問題は暗号だ」
廉と同じく、私もスクリーンに映し出された暗号に目を向ける。
「14:51+13:17。つまり、二時五十一分に、一時十七分を足すってこと?」
「単純に足せば、27時68分。つまり、四時八分になるな。ただ、気になるのがヒント…。時計を見てみようって言われてもな…」
私はスクリーンの横にあるデジタル時計に目を向ける。
そこには現在時刻が表示されてるだけで、特に変わったことはない。
「ここにある時計ってあれだけ?」
「あぁ、他には無かったはずだ」
「…あっ、じゃあ、もしかしてデジタル時計で考えるってことじゃない?」
時計を見てみようってことは、この映画館の時計を指しているとしか思えないもん。
「かもな。…にしても、時計で足し算ってどういうことだ?」
ブツブツとつぶやきながら、廉が口元に手を当てる。
デジタル時計と他の時計の違い、つまりデジタル時計の特徴にヒントが隠されてるはず。
デジタル時計の特徴って…。
私はジッとデジタル時計を見つめる。
あっ、もしかして…!
近くにあった短い鉛筆で紙に考えを書いていく。
「…何やってんだ?」
考えてた廉も近付いてくる。
…うん、やっぱり!
可能性が確信に変わって、私は大きく頷く。
「分かったよ!この暗号」
「えっ、本当か…?」
完全に疑惑の目を向けてくる。
た、確かに最初は戸惑っちゃったけどそんな目しなくても…。
「当たり前でしょ!この問題で最も大切なことはデジタル時計。まずは問題文の時間をデジタル時計の並びに変換して…」
私は廉に見せるようにもう一度紙に時刻をデジタル時計風に書いていく。
「それで、この二つを足し算するの」
「足し算って、どうやってやるんだ?」
「それは、この二つのデジタル時計に変換した数字を重ねる!つまり…こういうこと!」
私は14:51の空いたスペースのところに13:37の数字を重ねてぬっていく。
すると、見る見るうちに数字が浮かび上がってきた。
「そうか!つまり答えは19:97」
「うん!だから、1997に電話するってこと!」
私はそう言って、壁に掛かった電話を取ってボタンを押した。
ピポパと、聞き慣れた軽快な音が館内に響く。
「あとは、これが繋がるかどうかだな」
「うん」
私がそう答えた瞬間、耳元の受話器から呼び出し音が鳴った。
そして、それと同時に。
ジリリリリリリ!ジリリリリリリ!
「ぎゃ!何?」
館内全体にけたたましいアラームみたいなのが響きわたった。
「こっちから聞こえるぞ!」
廉の声に従って、階段を降り、座席と座席の間をすり抜けていく。
ここまで来ると、音もかなり大きくなってきた。
「この辺だよね?」
耳を澄ませて必死に音の出どころを探す。
「あっ、ここだ!」
私の一つ前列にいた廉が声を上げた。
その手の中には、折りたたみ式の携帯電話が握られていた。
「どうやらここに電話がかかったらしいな」
そう言ってボタンを押すと、アラーム音は止まった。
「でも、周りには何も…。…あっ、カギ!」
携帯電話のストラップ部分には小さな青いカギがついていた。
そのカギに触れた瞬間、レストラン前のあの扉のカギ穴のイメージが頭に広がった。
ということは、このカギがもう一つあればドアが開くってことだ!
「そうか、カギのありかはここだったってことか」
「じゃあ、もう一つの暗号を解けばまたカギが見つかるね」
「あぁ、解ければ…な」
廉が完全に意味ありげな顔を浮かべる。
その意味は私にも分かっている。
パソコンのキーボードの並びを思い出せないとここから出られないってことくらい分かってる。
もぅ!
どうしたら良いの…?
頭を抱えながら、私はどすんと近くの座席に座る。
どうにかキーボードの並びを思い出そうとふんばってみたものの、全くもって思い出せなかった。
そもそも、私脱出ゲームしかしないから、キーボードなんてあんまり使わないし…。
「とりあえず、ふたつ目の暗号を解いてみようぜ。その内何か思い出せるかもしれねぇし」
「んー、だね。えーっと、ふたつ目はTEL 14:51+13:17 ヒント:時計を見てみよう …って何これ!」
私は思わず席を立ち上がった。
明らかに難しそうじゃん…。
「TELってことは暗号の答えの番号に電話するってことなのか?」
「電話って、スマホも無いなら暗号が解けても無理じゃないの?」
「いや、電話ならあそこにある」
そう言った廉の目線の先には、壁にかけられた固定電話があった。
「ま、繋がるかは分からないけどな。問題は暗号だ」
廉と同じく、私もスクリーンに映し出された暗号に目を向ける。
「14:51+13:17。つまり、二時五十一分に、一時十七分を足すってこと?」
「単純に足せば、27時68分。つまり、四時八分になるな。ただ、気になるのがヒント…。時計を見てみようって言われてもな…」
私はスクリーンの横にあるデジタル時計に目を向ける。
そこには現在時刻が表示されてるだけで、特に変わったことはない。
「ここにある時計ってあれだけ?」
「あぁ、他には無かったはずだ」
「…あっ、じゃあ、もしかしてデジタル時計で考えるってことじゃない?」
時計を見てみようってことは、この映画館の時計を指しているとしか思えないもん。
「かもな。…にしても、時計で足し算ってどういうことだ?」
ブツブツとつぶやきながら、廉が口元に手を当てる。
デジタル時計と他の時計の違い、つまりデジタル時計の特徴にヒントが隠されてるはず。
デジタル時計の特徴って…。
私はジッとデジタル時計を見つめる。
あっ、もしかして…!
近くにあった短い鉛筆で紙に考えを書いていく。
「…何やってんだ?」
考えてた廉も近付いてくる。
…うん、やっぱり!
可能性が確信に変わって、私は大きく頷く。
「分かったよ!この暗号」
「えっ、本当か…?」
完全に疑惑の目を向けてくる。
た、確かに最初は戸惑っちゃったけどそんな目しなくても…。
「当たり前でしょ!この問題で最も大切なことはデジタル時計。まずは問題文の時間をデジタル時計の並びに変換して…」
私は廉に見せるようにもう一度紙に時刻をデジタル時計風に書いていく。
「それで、この二つを足し算するの」
「足し算って、どうやってやるんだ?」
「それは、この二つのデジタル時計に変換した数字を重ねる!つまり…こういうこと!」
私は14:51の空いたスペースのところに13:37の数字を重ねてぬっていく。
すると、見る見るうちに数字が浮かび上がってきた。
「そうか!つまり答えは19:97」
「うん!だから、1997に電話するってこと!」
私はそう言って、壁に掛かった電話を取ってボタンを押した。
ピポパと、聞き慣れた軽快な音が館内に響く。
「あとは、これが繋がるかどうかだな」
「うん」
私がそう答えた瞬間、耳元の受話器から呼び出し音が鳴った。
そして、それと同時に。
ジリリリリリリ!ジリリリリリリ!
「ぎゃ!何?」
館内全体にけたたましいアラームみたいなのが響きわたった。
「こっちから聞こえるぞ!」
廉の声に従って、階段を降り、座席と座席の間をすり抜けていく。
ここまで来ると、音もかなり大きくなってきた。
「この辺だよね?」
耳を澄ませて必死に音の出どころを探す。
「あっ、ここだ!」
私の一つ前列にいた廉が声を上げた。
その手の中には、折りたたみ式の携帯電話が握られていた。
「どうやらここに電話がかかったらしいな」
そう言ってボタンを押すと、アラーム音は止まった。
「でも、周りには何も…。…あっ、カギ!」
携帯電話のストラップ部分には小さな青いカギがついていた。
そのカギに触れた瞬間、レストラン前のあの扉のカギ穴のイメージが頭に広がった。
ということは、このカギがもう一つあればドアが開くってことだ!
「そうか、カギのありかはここだったってことか」
「じゃあ、もう一つの暗号を解けばまたカギが見つかるね」
「あぁ、解ければ…な」
廉が完全に意味ありげな顔を浮かべる。
その意味は私にも分かっている。
パソコンのキーボードの並びを思い出せないとここから出られないってことくらい分かってる。
もぅ!
どうしたら良いの…?