脱出ゲーム ~二人の秘密の能力~
「じゃあ、開けるよ」
「あぁ」
映画館を出て、再びレストラン前の扉に戻ってきた。
後はこのカギでドアを開けるだけ…!
カギを穴に入れていく。カチリと爽快な音が二度。
ドアノブをひねって前に体重をかけると…。
「開いた!」
無事にドアが開いた。
目の前にはキレイにクロスがかけられた、たくさんのテーブルとイスが並んでいた。
「良かったな」
「うん、じゃあロビーに」
そう言いかけたその瞬間、心が何かに支配されそうになっていくのを感じた。
あっ…。
「どうした?」
心配そうにのぞき込んできた廉を見てハッとする。
「私、ちょっと手洗ってくるね。トイレ、あそこだよね?」
レストランの先にあるマークを指差す。
「あ、あぁ。…じゃあ俺は先にロビーにいるから」
「うん、また」
私は廉に手を振りながら、トイレに向かって歩いていった。