脱出ゲーム ~二人の秘密の能力~
真実と爆弾
「でも、まさか飯田さんが犯人だったなんて…」
懐中電灯を照らしながら、エンジンルームに続くという、長く暗い鉄製階段を下りていく。
あの後、犯人は飯田という言葉をパソコンに入力すると、ロックが解除されて無事にセキュリティデーターが開いた(らしい。私にはよくわかんなかったんだけどね…)
そして廉が私の持ってたカードキーに何やら操作をして、無事にエンジンルームへの扉が開いたのだった。
『まあ、正直目星はついてたけどまさか自分から言うとは思ってもみなかったわ』
瀬那が笑うように言う。
『なんで飯田さんが犯人だって、思ったの?』
『犯人はまず、二人が今日この船に乗ることをあらかじめ知っている人物。そして、この船に色んな仕掛けが出来るくらい三崎グループの豪華客船に詳しい人物。更に、三崎廉の部屋のキーを持ってるくらいに役職が高い人物。そして決定打になったのはこの船に乗ってるのは犯人グループと三崎廉だけってニュースになってることよ』
『それがどうして決定打になるの?』
廉は三崎グループの御曹司だし、ニュースになってもおかしく無いけど、私はただの一般人だし…。
『もし、飯田さんが犯人じゃなかったら気が付くでしょ?七瀬がどこにもいないことに。最初は動揺してても、さすがにこんなに時間が経ってるんだもの』
なるほど…。さすが瀬那だね!
「エンジンルームに着いたぞ」
階段を降り終えると、目の前には重たそうなドアがあった。関係者以外厳禁!と大きく書かれてる。
さっきと同じく、カードキーをかざすとロックが解除される音が響いた。
良かった、開いた…。
分かってはいたけど、安心してホッと息を吐く。
なんかしばらくドア恐怖症とかになりそう…。
ドアを開けると、油のニオイと、ものすごいごう音が響いた。
「すごい音だね!」
廉に聞こえるように、お腹に力を入れながら話す。
「あぁ!ここは船を動かすための部屋だからな!操舵室が船の頭脳なら、エンジンルームは心臓って呼ばれてるんだ!」
確かにここには見たことのない、かなり大きな機械がいっぱいある。
そっか。
まぁ、こんなに大きくないと、船動かせないよね。
そんな事を思いながら、足を進める。
…と。
「…まずいな」
しゃがみ込んで何かの機械を見た廉が口にする。
「どうしたの?」
「エンジンルーム全体に爆弾が仕掛けられてる。しかも、かなりの数だ。全部が爆発したら、これ、すぐに避難しないとマズイな」
よく見てみると、どの機械にも黒い箱みたいなのが取り付けられている。
あれが、全部爆弾…。
そう考えるとゾゾッと寒気がする。
ていうか、爆弾解除してくれるのかな。
もし、本当に飯田さんが犯人で、超能力を排除したいって思ってたら…。
「どうしよう…」
『大丈夫。私に考えがある』
『えっ?』
突然の瀬那の自信たっぷりの声にびっくりしてしまう。
考えって…。
『一体なんなの?』
『そこに三崎廉もいるんでしょ?彼にも伝えて、ていうかお願いして欲しいんだけど…』
エンジンルームの端っこで、私達は固まってジッと瀬那の話に耳を傾けたのだった。