脱出ゲーム ~二人の秘密の能力~
私には廉のショックは全部は分からないけど、きっと辛いものなんだと思う。
「…今回二人に試練を与えたのは、君たちにある能力があるか見定めたかったからさ。科学的には証明されていない、人外的な特殊能力。…超能力があるかどうかね」
やっぱり…。
悔しくも瀬那の話と同じだった。
「そして調査の結果、千堂七瀬さん。君に超能力があることが分かった」
「…どうするつもりなんですか?このまま私を閉じ込めて船を爆発させるつもりなんですか?」
震えそうになる手をこらえるように握りしめながら、一歩を踏み出して聞く。
「まさか。君みたいな人にそんな事をする訳は無いよ」
「えっ…」
どういうこと…?
想像外のまさかの返答に頭がパンクしそうになる。
「僕は君の能力を評価する。だから、その能力を僕と一緒に生かしてみないか?」
飯田さんが口角を上げながら私に向かって手を差し伸べる。
「…生かすって、なんですか?それに、廉はどうなるんですか?」
「僕は超能力こそ、この世界の頂点に立つものだと思うんだ。だから君の力を生かして、この世界を超能力の世界にしたいんだ!…まぁ、そのためには三崎廉、君の存在は邪魔になるね」
「それって…」
私がそう言いだすと、飯田さんがパチッと指を鳴らした。
その瞬間、後ろの扉からタンクトップを着たガタイの良い男二人が出てきて廉の腕を掴んで捕えた。
「お前!っ離せよ!」
「三崎廉、君にはこのまま船に残ってもらう。さぁ、千堂七瀬さん、君のために脱出口は残している。僕達に付いてきてくれるよね?」
「…」
私はゆっくりと深呼吸をする。
答えはもう、決まってる。
静かな沈黙のあと、私はスッと口を開いた。
「…分かりました。あなた達に付いていきます」
「お前…」
男の人に腕を掴まれながら廉が目を見開く。
「その代わり、彼を放してあげてください。超能力が無くてもここまで一緒に来た仲間なんです。最期くらい、辛い思いをさせなくてもいいでしょ?」
「…分かった、条件をのもう。おい、お前ら腕を放せ」
飯田さんの声で男二人が廉の腕を放した。
その瞬間だった。