脱出ゲーム ~二人の秘密の能力~
エピローグ
「ふわぁ…」
リビングのソファの上で、思わずあくびをしてしまう。
なんか、あの事件が大きすぎて、何をやっても退屈なんだよねぇ…。
あの後、私達はヘリコプターで無事に脱出をした。
あの船は警察が来て、爆弾は全部解除。
船も無事に港に戻ってきた。
そして飯田さん達は警察に捕まった。
超能力のことが他の人にもバレるんじゃないかと心配したけど、パパと三崎グループのおかげであの場で知った人以外に知られないように根回ししてくれた。
「なに、のんきにあくびなんかしてるの?宿題終わってないんでしょ?」
冷めた目つきで瀬那が声を掛けてくる。
あの時の優しさはどこへいったのやら。
「そうだけどさぁ…。なんかやる気が起きないんだよねぇ」
「まぁ、気持ちは分からなくもないけど。でも、動かないと」
「そうだけどさぁ…」
そんな会話をしてると、ドタバタとした足音が聞こえてきた。
「七瀬、瀬那!脱出ゲームに行くぞ!ほら!」
パパが息を切らしながらチラシを見せてくる。
そこには、近くのショッピングモールで脱出ゲームを開催するというお知らせが書いてあった。
「…は?脱出ゲームなんて」
「えぇっ!行く行く!行きたーい!ってか、これ、こないだ電話した時に廉が行ったって言ってたとこだ!ほら、瀬那も早く行こっ!」
瀬那の言葉をさえぎって、私は瀬那に手を差し伸べる。
「はっ!?ちょっ、あんなことあったのにまだ行くつもり?」
「だって、これから閉じ込められたとしても役に立つかも!一度あることは二度あるって言うし!」
「それを言うなら二度あることは三度あるだし…。もうあんなのこりごりなんだけど…。てか、こんなことしてるから超能力者ってバレるのよ」
あきれたように口うるさく言う瀬那の腕を取って、私は無理やり引っ張る。
「細かいことはいいから!行こっ」
瀬那が本当は脱出ゲームが好きなこと知ってるんだから!
夜な夜なパソコンでもやってるしね。
バレてないと思ってるつもりかもしれないけど、私には分かるんだから!
「…しょうがないわね。行くなら一番に脱出してみせるんだから!」
「さっすが瀬那!」
私は完全にやる気の瀬那に向かって拍手をする。
本当、あまのじゃくだよね。
「じゃあ、行こうか?」
「だね!」
私達は手を取って、笑顔で歩き始めた。