昨日、あなたに恋をした



「実は犯人に心当たりがある」

 夜、みんなが訪れた日子のマンション入り口で、唐突に東城がそう語り出した。

 東城はいつも、日子のインスタに書かれた批判コメントを日子が瞬時に消す前に見ていたらしく。

 日子の周りに不審な人物が現れないか、監視してくれていたようだった。

「犯人はおそらくボブカットの小柄な女だ。
 何処のどいつかまでは突き止めてはいない。

 濡れ衣の可能性もないではないし。
 日子にはまだ教えずに、ちょっと様子を見ていたところだったんだ」

 社長令嬢のストーカーという濡れ衣を着せられた経験があるからだろう。

 東城は慎重だった。

「だが、少なくとも、今のところ、一番怪しいのはあの女だ。
 四日前と昨日と今日。

 駅と新しいスーパーと、日子の会社近くのコンビニで、彼女はじっと日子を見ていた」

 重々しく語る東城の整った顔を見ながら、みんな内心思っていた。

 ……で、あなたは四日前と昨日と今日、何処からそれを見てたんですか?
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