昨日、あなたに恋をした




「素敵ですっ、日子さんのお部屋っ。
 なんにもなくてスタイリッシュでっ」
とついに日子の部屋に入った裕子が手を打って喜ぶ。

 ちょうど交代の時間だった東城も、みんなと一緒に日子の部屋に来たからだ。

「えーと、珈琲か紅茶か淹れましょうか?」

 そう日子が言い、覚束(おぼつか)ない手つきで支度しようとすると、誠孝が、

「俺がやるから、お前は座って東城が見た女の話でも聞いておけ」
と言ってくれた。

 誠孝は全員に、飲み物はなにがいいか訊き、サッと淹れてくれる。

「すごいですね、沙知見さん。
 手際いいし。

 日子さんちのキッチン使い慣れてるし」

 最後に付け加えられたその言葉に並んでラグに座っていた星野と東城が、何故かビクリとしていた。
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