昨日、あなたに恋をした



 中で片付けをしてくれていた誠孝に、
「沙知見さん、ありがとうございました。
 あとは私が……」
と言いかけた日子は、その言葉を途中で止めた。

 誠孝はキッチンは片付けていたが。

 何故か、部屋の中央にソファのクッションや本棚の本などを置いて、らしくもなく、散らかそうとしていたからだ。

「えーと……。
 なにしてるんですか? 沙知見さん」

「片付いてると、簡単に部屋に人を呼べるだろうが」

 呼べてはいけないのですか……。

「お前は考えなしだからな。
 それでも、一応、若い女性だろう」

 一応でなくとも、若い女性ですが。
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