昨日、あなたに恋をした
「気軽に部屋に男を呼んだら物騒じゃないか」

「いえ、あの、基本、女性しか呼びませんが」

 ひとりで来る男性は、あなたくらいのものですよ、と日子は思っていたが、誠孝はクッションを手にしたまま、こちらを見、

「その女が男を連れてくるかもしれないじゃないか」
と言う。

 女性が男性を連れてきて、なにがいけないのですか。

 っていうか、なんですか、その、一匹見たら百匹みたいな。

 暖かくなってくると現れる、あの黒くてつやつやした、いきなり飛んだりする生き物であるかのように誠孝は、若い男について語っていた。





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