昨日、あなたに恋をした
翌朝、暗い気持ちで通勤電車に乗っていた香椎の目の前に、いきなりすごいイケメンが現れた。
混まない時間に乗りたいので、いつも出勤時間はかなり早めにしている。
一度、楓日子を間近で見たくて遅めに出たとき、人の多さにうんざりしたので、あれから、より早い電車に乗るようになっていた。
そこそこ空いてるのに、何故、この人、こんな側に立ってるの?
と不審に思う香椎にその精悍な顔をしたイケメン様はスマホを向けてくる。
「お前を盗撮していいか」
ひっ、なにこのイケメン様っ。
そんなことを言いそうもない顔で、淡々と言ってくるのが余計怖いっ。
「俺はそのようなことをしたくないのだが。
日……
ある機関に命じられて」
いや、あなた今、日子って言おうとしましたよっ。