昨日、あなたに恋をした



 東城と別れ、電車を降りたあと、香椎はホームで日子のインスタを開けてみる。

 日付をさかのぼり、日子が作った料理の数々を見た。

 料理もテーブルウェアも配色が上品でいい感じだ。

 ……やっぱり、楓さんは完璧だ。
 あの男の人は、私がこれ以上、楓さんを狙わないよう言ってくれたんだろう。

 私が傷つかないよう、気を使って。

 優しい目をしてたもんな。

「いや、このインスタに出ている四角の外側を一度見てみろ。
 何処が完璧な女だっ。

 そして、さっきのあいつは優しい目をしたストーカーだぞっ」
と誠孝が叫び出しそうなことを香椎は思っていた。

 職場に電話する。

 いつも早くに来ているシステムの部長が出た。

「すみません。
 ちょっと体調が悪いので、少し遅れて行きます」

 そう言い、電話を切った。



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