昨日、あなたに恋をした
 相当なミスをしたらしい彼が悪いのだが、可哀想になってきた。

「あと、鈴木くん。
 ……鈴木くんはどこ?

 鈴木くんはどこかな……?

 ……鈴木くん」

 ちょっと穏やかにも聞こえる声で日子が呼んでいる。

 もしかしたら、全然違う話なのかもしれない、と思わせる雰囲気があったが。

 この惨状の原因となった電話を受けたときに持っていた紙を日子はまだ持っている。

 どうやら、道中、鈴木による連続ミスだったようだ。

 香椎は足元に隠れるようにしゃがんでいる若い男がいるのに気がついた。

 部署に戻って来たら、日子が暴れていたので、隠れたようだ。

 ス ズ キ ク ン

 死の天使のような日子の声が響く。
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