昨日、あなたに恋をした
「俺は日子と仕事するのが夢だったんだが。
 やめておくよ。

 あいつと一緒に仕事したら、殺される自信がある……」

 爽やかな風貌で長身の彼は、冷えてなさそうな缶コーヒーを手に震えていてた。

 香椎はデスクに戻り、すでにいつもの顔で仕事をしている日子を見る。

 あの二人がやってきて、日子にぺこぺこ謝っていた。

「楓さんまで残業していただかなくて結構です」
と言っているのが聞こえてきた。

 日子がパソコンの画面を見たまま言う。

「なんで?
 みんなでやった方が早いじゃない」

 あの女子社員と震える男性社員は、いつの間にか消えていた。




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