昨日、あなたに恋をした
「どうですか?
いい出来でしょ、今回の社報。
ありがとうございます、沙知見さん。
日子さんの会社の記事、評判いいみたいです」
社内を回ってきたらしい石田が機嫌よく言ってくる。
だが、誠孝は内心、
なんだ、この社報。
回収しろ、と思っていた。
日子が綺麗に写りすぎてるし、俺の好きなぼんやり顔じゃないし。
この記事と写真じゃ、まるで仕事もできるいい女みたいじゃないか。
誰かJAROに通報しないのか、と思ったが、別に日子の広告ではなかった。
「続けてはできないですけど。
ある程度、他の会社もやったら、また楓さんの会社に戻ってきてもいいですね、記事。
そのときはまたお願いしますよ、沙知見さん。
……沙知見さ~ん?」
誠孝は聞こえぬフリをして、仕事を続けた。