昨日、あなたに恋をした



 夜、誠孝はいきなり、ベルゼブブ新太に食事に誘われた。

 明日、近くまで行くので、一緒にランチでもどうかと言われたのだ。

 ……近くまで行くのでって。
 そもそもベルゼブブさんの会社、うちの会社と近かったような、と思いながらも、待ち合わせ場所まで行く。

 新しくできたスペインバル風の店だ。

 この人と行くの、呑みたくなるような店が多いな、と思いながら、パエリヤと色とりどりの小皿料理が出てくるランチを二人で頼む。

 二人前で設定されているようだし、これ、カップル向けのメニューでは……。

 そう思いながらも美味しくいただいた。

 突然、妙な理由をつけて新太が会いたいと言ってきたので、なにかあるのでは? と勘繰(かんぐ)ってしまっていた誠孝だったが。

 普通に仕事やゲームの話などして、楽しくランチは進んだ。

 だが、
「今度ここで、ばあさんの米寿の祝いをやるんで、その予約も兼ねてここにしたんだ」
と新太が言い出した辺りから、ちょっと雲行きが怪しくなってきた。
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