昨日、あなたに恋をした
「ときにシゲタカ。
 お前、日子と出かけることはあるのか」

「ありますね」

 ふうん、と言った新太はゆっくり海老をむいて食べたあとで、
「……例えば?」
と訊いてくる。

 いや、今、海老むいてる間、ずっと日子と二人で何処行ったんだろうとか考えてたんですか?

 いやいや、新太さんのことだ。
 海老のことだけ考えてむいていたのかもしれない。

 むき終わってようやく、停止していた脳が動き出して訊いてきたのかも、と誠孝は思い直した。

 沈黙している間、ずっと日子と自分のことを考えていたとか。

 新太の日子に対する本気度が高そうで遠慮したい。

「いつも行くのは、一階のコンビニとかですね」

 誠孝がそう答えると、安心したように新太は笑ったが。

 次の瞬間にはすぐ、真面目な顔になり、訊いてきた。

「それはふたりで普段着で行くのか?」

 いや、そこ、大事なとこですか……?
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