昨日、あなたに恋をした
 誠孝は、
「俺はお前の部屋の物じゃないぞ」
と言ったが、らしくもなく赤くなっていた。

 日子はそんな誠孝を見て微笑んだあとで、

 そうだ。
 あの虹の写真、インスタにあげよう、とスマホを手にした。

 だが、誠孝が後ろから日子の腰に手を回し、引き寄せる。

 ひゃっと小さく声を上げ、日子はスマホを落とした。

 なにするんですかっ、と振り返った日子に誠孝は口づけてくる。

 間近に日子を見つめた誠孝がちょっと笑って言ってきた。

「お前は見た物全部捨てたりするからな。

 俺を捨てないよう……」

 目を閉じてろ。

 そう言いながら、誠孝がもう一度強く口づけてくる。

 日子の足元に落ちたスマホの画面はまだ明るく。

 そこには、鮮やかな二重の虹と、ベルゼブブや香椎たちからのいいねが映っていた。



                           完


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