昨日、あなたに恋をした
 後輩に憧れられたり、慕われたりするのは、嬉しいが。

 この過剰な期待には応えられそうにない。

 あなたの夢をつぶしてしまいそうなので、申し訳ないから、パスさせてください、と夢見がちに輝く裕子の瞳を見ながら、日子は思っていたが。

「日子のマンション、私も行きたい~」

 唐突に、そんな声が降って湧いてきた。

 振り返ると、ファイルの棚の前に郁美が立っている。

「そういえば、あんたの新しいマンション見てないわ~。
 羽根がすごいいい立地って言ってたけど。

 前より広いんだって?

 この日曜とかどう?
 暇?」

 うっ。
 郁美さんに言われると断れないっ。
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