昨日、あなたに恋をした
 沙知見さんとか、片付けたり掃除したり、きっちりするの、好きそうだもんな~。

 向かい合わせにあんな人が住んでると、余計自分が駄目人間に思えてくるな……。

 そんなことを考えながら、ガシャンッと缶コーヒーをもう一本買い、
「あげる、星野。
 慰めてくれてありがと」
と渡したが、

「いや、俺、甘いの駄目なんだ……」
と言われてしまった。

「あっ、そうだったね、ごめん。
 反射でいつもの買っちゃった」
と言って、日子は買い直そうとしたが、いや、いいっ、と慌てたように言われる。

「この方がいいから。
 サンキュー。

 片付け、ほどほどに頑張れよ」
と言って星野は行ってしまった。

 ……この方がいいからってなんだ?
と思いながら、日子は手を振り見送った。


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