昨日、あなたに恋をした



 余計なことを言ってしまった……。

 星野は足早に部署へと向かっていた。

 日子に買ってもらったコーヒーか、とつい、笑みがこぼれる。

 ぎゅっと缶コーヒーを握ったとき、気がついた。

 しまったっ。
 土曜は忙しいけど、他の日なら空いてると言えばよかったのではっ。

 星野は慌てて振り返ったが、日子の姿はもうなかった。

「星野さん、お疲れです~」
と後輩に声をかけられ、

「お疲れ」
と返しながら、星野は自分の部署に入る。

 飲むことのない甘い缶コーヒーをデスクの上にそっと置いた。

「あげる、星野。
 慰めてくれてありがと」

 そう言い笑った日子の顔を思い出しながら。


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