昨日、あなたに恋をした
 

 星野は一日、日子に言われた言葉を思い出し、ほっこりしていたが。

 当の日子は、なにも、ほっこりしてはいなかった。

 やばい~。
 まずい~。

 もう今日という日が終わろうとしている~っ。

 今から、片付ける気力なんてないよ~と青ざめた顔で、日子はマンションに戻った。

「お疲れです~」
とマンション入り口に立っていた東城(とうじょう)に言って、

「どうした、日子。
 道でゾンビに出会ったような顔をして」
と言われる。

 ……いや、先輩。
 なかなか日本の夜道でゾンビに会うことないでしょうよ。

 待てよ。
 そういえば、この人、高校のときからパニック映画が好きだったな、と思い出しながら、日子は訊いてみた。

「先輩、どうしたら、部屋って、さっと片付けられるようになるんでしょうね」

「そういうことは片付けられる人間に訊け」

 ……この人も私と同じ人種だったか。
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