昨日、あなたに恋をした
「……すみません。
 片付けたのは、ほんのちょこっとです。

 ほんとうは、朝、ここで沙知見さんを待って、コツとか教えてもらおうと思ってました」

「コツっていうか。
 死ぬときにも、それをつかんでいたいかくらいまで考えて、バッサリいかないと、なかなか捨てられないし、片付かないぞ」

 そう言いながら、誠孝はおのれの部屋の中や引き出し、クローゼットの中などを思い浮かべる。

「……そういう基準で考えれば、まだまだ捨てれるな」

 思わず、部屋に戻ろうとして、日子に止められた。

「あ、朝からしょうもない話してすみませんっ。
 仕事、行きましょう、仕事っ」


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