空虚な願い。
第一章 空白の時間

空白の願い







7/7=七夕


短冊に願いを込め、笹に飾る行事

祈るモノなど、神などいないというとに、この日だけは信者なきものでも祈り、願う。



「……」


かく言う、僕も。その、一人か。

祈ることも、短冊に願うこともないが、

信心深くも、深心深くもないが、


この日ばかりは、心の奥底で願っている。

短冊を空白で飾るぐらいには、願うことが無いというのに。

『何かを願っている』。そういう気分に浸れるのだから。なれるのだから…。

まったくもって奇妙な日だと。そう思わずには、いられない。


…………


と、僕こと優夜の厨二チックな独白は置いておいて、


「早く祭りに行くとしようか」


……集合時間は5時半だった、はず。

携帯を見る。

17:20 7月7日 金曜日
[ゾンビのゆめ、反射の人形]



「二時間後メッセージ?……それに、どういう事だろう?」
まあいいか。今は時間がない。

……急ごう。






「ようやく来たね」
幸が言う。
「ごめん、遅れた」

「……まだ、時間、なってない」
僕の妹、夕が言う。


今は何時か確認するために携帯を取り出す。

17:53 7月7日 金曜日
[貴方の願いは叶いました]

「……。」

「どうしたの?」
僕が黙っている事に、不審に思ったのか声をかける。


「いや、なんでもない」

携帯をしまう。

「それにしても…あの子、おそいね」

「…奏か?」

「うん。あの子、いつも遅れるから…。」

「まぁ、いつも遅れるのはいつも通りじゃないかな?」



「でも、流石に遅すぎじゃない?」

「ね」

「もういっそ、次から置いて行かない?」

「そうだね」

「いや、その必要はなくなった」

「え?」

「ほら、後ろ」

「ふふふふ。置いていくなんて私が許しませんよ」


「…ギャー!」


「すみませんすみません…。研究に没頭していたら遅れていました」

「やっぱりいつものことだった…。」
僕は苦笑いする。

「遅い。集合時間過ぎてる。」
夕がぽっぺをふくまらせながら怒った

「すみませんってば。お詫びに何か祭りで買ってあげますから!なんでも!」
「許す」
即答で夕が言った

「ちょっろっ」
と、遅れてきた張本人の黒幕、奏が言う
「なんか言った?」
「いいえなんでもないですよ」

「ほら、そんなこと話してないで、短冊に願いを書いて飾るよー」

「「「はーい(ん)」」」







「みんなー!短冊はもう飾ったよね?」

「…うん」 「ん!」 「はいっ!」

「…それで、何を書いたの?」

「言わなくちゃだめですか?」

「…減るもんじゃないでしょ」


「………SAN値が減ります」

「…黒歴史でも書いたみたいだねー!」

多分絶対聞かれると思ったので話題転換する
「…そう言う幸はなにを書いたんですか?」

「世界平和でも願っておくよ」
「夢、ない」

「そういう夕はどうなの?」

「…肉が食べたい」

「夕らしい願いだね…。」
と、幸が苦笑する

「それで、優夜はなんて短冊に書いたの?」

「…書いてない」

「え?」

「なにも書いてないよ」

「黙秘の間違い?」

「なにも書かずに結んだ」

「む。優夜も、夢、ない」

「夕には言われたくないね」












「…随分賑わってるね」

「まつりだよ?寂れてたら終わりでしょ?」

「まあ、確かにね」

「っと。」

また携帯を見る

17:59 7月7月 金曜日

なんとか間に合った…。よかったよかった…。

「…さっきの約束…忘れたわけじゃない、よね、奏」

「…はい」

「…行くよ。」

ズルズルと引っ張れられながら奏は連れ去られていく

「いやです!助けてくだt「だが断る。面倒なことには突っ込まない主義なんでね」

「酷い!」

「うわあぁぁあぁぁぁああぁ!」



あまり大きな声を出すのは辞めてほしんだけど。
お陰で変な目で見られてるじゃん。
はぁ。
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