だから俺はお前が嫌いだ。
『ざまぁみろっっ!』
そっと,目を開く。
嫌な夢を見たなぁと,他人事のように思った俺は,黒く暗い部屋の中で黒いパーカーを身にまとった。
そして,怪しげなナイフを持つ。
いや,ナイフ自体が怪しいのか。
小さなアパートの陽の光の当たらない一室。
そこが今のところ俺の世界の全てだ。
現在の人類では作れないような薄型のコンパクトな機械を取り出す。
ここに,俺の仕事が書かれているのだ。
それを一瞥した後,ため息を吐く。
俺が人が集まるところ,嫌いなの知ってるくせに。
あの女はあえてそうしているのだ。
まぁ,いわゆる人をからかうのとイタズラを好む厄介な女性だ。
もう一度出そうになったため息を飲み込んで,俺は馴染みの駅に向かう。