だから俺はお前が嫌いだ。
まぁ,それでもあの人が命の恩人であることには変わりない。
また,上司であることにも変わりはない。
全身を真っ黒で包み込み,この暑い中歩く。
道行く人にはただのニートと呼ばれるものにしか見えないだろう。
……死神などには,見えないだろう?
まぁ,元々俺はまだ16歳だ。
ここでは働けもしない,ただ親に養われるだけの年齢だ。
どれだけ嫌なことがあっても,何もできない,させて貰えない世界だと,俺は知っている。
[次は〜,水精駅〜水精駅〜]
今日でこの駅に来るのは5回目だ。
そして,いつものカフェに行く道のりも5回も行けば嫌でも覚える。
改札を出ると一気に熱気が押し寄せてくる。
こんな暑いのに長袖の黒パーカーを着てるため,逆に目立っている気が……。
目立たずに仕事をする,が1つの条件でもあるのに……。
まぁ,これが制服だから仕方がないんだが。