だから俺はお前が嫌いだ。
急いであの人が待つカフェへ行く。
カランカランとリズミカルな音をたてて,カフェのドアが開く。
「いらっしゃいませー」
しばしばクーラーのありがたさを噛み締めたあと,1番奥の窓際の席に座る。
が,目的の人はそこにはいなかった。
「…………。」
いわゆる,ドタキャンというやつである。
呼び出した側が来ないのはどうかと思うが,相手は上司だ。
何も言えない…。
俺はメッセージを送ったあと,そっとため息を吐く。
やれやれ,今日はため息を吐いてばかりだ。
新人の店員にレモネードを注文し,サービスだと言われた小さなパウンドケーキを食べる。
あの人はきっと,あと1時間以上来ないだろう。