転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「リジュ! 団長閣下に失礼だよ。団長閣下は花が好きなの。私の花畑を時々見に来てくれるのよ」
「花を? わざわざリアの花畑まで? 王宮に幾らでも庭園があるだろ。専門の庭師もいるし」
リジュと呼ばれたくせ毛の男は不機嫌そうに眉を寄せた。
「スーリアの花畑の花は保ちがよい上に季節はずれの花も良く咲く。それでよく見せて貰っているんだ。今日はもう仕事が終わっているならスーリアを借りても?」
アルフォークはにこりと微笑むと努めて丁寧な物腰でリジュと呼ばれた男に話しかけた。
アルフォークはなまじ整った顔のため、美しく微笑むとその美貌故に妙に凄みが増す。リジュルは怯んだように口をへの字に曲げた。
「……まあ、花畑を見るだけなら」
そして、スーリアを見下ろすと店の軒先を顎でさした。
「リア、また何個か包んでやるからその間にあそこのバケツ片付けてこいよ」
「うん! リジュ、いつもありがとう!!」
ぶっきらぼうな態度なくせ毛の男に、スーリアは嬉しそうに微笑んだ。