転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
それを聞いたアルフォークは柔らかく微笑んだ。一方のスーリアは思いがけない誤解に耳まで赤くなるのを感じた。
「リジュ―――リジェルは幼馴染みなんです。私の花をお店の前に置いてくれるって言うからお礼代わりにお店の手伝いをしてて。アルフォークさんはそういう女友達はいないですか?」
スーリアの問いかけに、アルフォークは少し考えるように沈黙してから小さく首を振った。
「女性に幼馴染みはいないな。俺の仲の良い幼馴染みと言えば、ルーエンだ。それに、エクリード殿下も歳が近かったから小さな頃から遊び相手としてご一緒することが多かったな」
スーリアは記憶を辿る。たしか、エクリード殿下とはこの国の第二王子だ。あまりにも気さくなのでつい忘れそうになっていたが、歳が近いだけで第二王子の遊び相手に選ばれるなど、やはりアルフォークは自分とは住む世界が違う人間なのだ。そう思ったら、スーリアは胸の奥にチクンと痛みを感じ、顔を俯かせた。
「帰り際に何かを受け取っていたが、何を?」
アルフォークに話しかけられてスーリアは顔を上げた。