転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
リアちゃんがグリルの火を点けたのを見て、スーリアは慌てて鍋を覗き込んだ。
「水の量は?」
「これくらい」
リアちゃんはグリルの上の片手鍋を指さす。鍋にはひたひたの水が入っている。
──これって鍋によって違うんじゃない?
スーリアは顔を引き攣らせたけれど、リアちゃんはどんどん作業を進めてしまう。
「三回に分けてお砂糖を足してね。時々かき混ぜるの。ぐるぐるぐるって三回半」
リアちゃんは鍋に砂糖を足すと、木べらでぐるぐるとかき混ぜた。くつくつと煮える野いちごの鍋からは甘ーい香りが漂う。
「はい。やってみて」
「うん。こうかな?」
木べらと砂糖を渡され、スーリアは先ほどのリアちゃんの真似をして砂糖を入れるとぐるぐるとかき混ぜた。ふと横を見ると、鍋を見つめるリアちゃんの眉が僅かに寄っている。