転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「料理だ」
「それは見ればわかるけど」
「スーが育てた野菜を使って作った。これだ。食べたら防御力が上がるかも知れない」
アルフォークは持っていた袋から瑞々しい野菜を取り出した。赤く熟れたトマトの香りがすんと鼻腔を掠める。
「なるほど。野菜もあるのか」
ルーエンは一転してまじめな顔になるとカットきゅうりを摘まみ、炎の攻撃魔法をかけた。カットきゅうりのまわりに防御壁ができる。それを確認して、ルーエンはきゅうりを口に入れた。
「うまいか?」
「まあ、きゅうりの味だけど? 防御力上がったのかな? ちょっとこれだけじゃわかんないな」
「もっと食べてくれ。沢山作った」
「……アルが作ったのか?」
隣で眺めていたエクリードが怪訝な顔で問うと、アルフォークは和やかな笑顔を見せた。