転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「お二人ともこんにちは! 花を見に来たの?」
「花も見たいんだが、今日は頼み事をしにきた。お父上は中に?」
「父さん? 農場にいるから呼んでくるわ。待ってて」
スーリアはアルフォークとルーエンの横をすり抜けると父親のベンを探しに農場へと走った。父親はちょうど収穫の時期を迎えた野菜をもぎ取りかごに入れている。かごは既に野菜でいっぱいになっていた。
「父さん、騎士団長閣下と魔術師様が用事があるんだって」
「騎士団長閣下と魔術師様が」
スーリアがアルフォークとルーエンが用があることを伝えるとベンは怪訝な顔をした。けれど、すぐに家に戻ってきてくれた。
ベンとスーリア、アルフォークとルーエンが質素な木のテーブルを挟んで向かい合う。
煌びやかな二人組が質素なこの家のダイニングで庶民向けのお茶を飲んでいる光景は、なんだかおかしく見えた。
アルフォークはお茶を一口だけ飲むと、本題を切り出した。