転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
スーリアはまわりを見渡して見ごろを迎えた花を探した。すこし迷ってラナンキュラスを摘み、シンプルにリボンで茎を縛り手早く花束を作ってゆく。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
ルーエンは花束を受け取るとにっこりと微笑んだ。
「ねえ、僕もスーリアちゃんのこと『スー』って呼んでいい? 『スーリアちゃん』って呼びにくい」
「駄目だ」
人懐っこい調子でルーエンがスーリアに尋ねると、少し離れたところにいたアルフォークがスーリアの代わりにぴしゃりと拒否する。
「僕はスーリアちゃんに聞いているんだよ。なんでアルが否定するのさ。じゃあ、『リアちゃん』ならどう?」
ルーエンは面白いものを見つけたかのようにアルフォークを見てニヤっとした。アルフォークは忌々しげにルーエンを睨み返す。