転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「崇高なる目的を達成するため、お前は先ずはマニエルを『マニィ』と呼ぶべきだ」
「はいはい。じゃあこの花を持ってまずマニィに会いに行きますよ」
崇高なる目的とはかの小説のモデルが自分達だなどというくだらない噂を払拭することだろう。
苦笑したルーエンはラナンキュラスの花束を片手に両手をあげて、お手上げのようなポーズをした。しかし、次の瞬間にふと何かに気づいたようにパッと表情を明るくしてスーリアを見下ろした。
「ねえ、リアちゃん。『スー』と『ルー』ってなんか似てるね。リアちゃんが『スー』で僕が『ルー』。僕たちお揃いだ」
目を輝かせるルーエンは嬉しそうにスーリアと自分を交互に指さして『スー』と『ルー』と言った。それを聞いたアルフォークは渋い表情をつくった。
「少し黙ってろ。スーの別の愛称考えないといけなくなる」
「えー、いいじゃん。アル、僕のことも大好きでしょ?」
「……ルー。お願いだから黙ってくれ」
アルフォークは指でこめかみをぐりぐりと押さえた。スーリアはその様子を見て、二人がとっても仲良しなのだと感じてくすくすと笑った。