転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「あれ? 猫がいる」
その時ルーエンが声をあげる。その声に反応するように、スーリアは視線を移動させた。
花畑の端に茶色い毛玉が見える。
「ミアだわ。おいで、ミア」
毛玉はミアだった。スーリアがミアを呼ぶと、ミアはルーエンとアルフォークの足に擦り寄って体を擦り付けた。
「拾った野良の子猫を飼っているんです。ミアって言います」
「へえ。可愛いね。猫は好きだな」
ルーエンは目を細めてミアをひょいと抱き上げる。頭をごしごしと撫でられたミアはゴロゴロと咽を鳴らした。アルフォークはその横をすり抜けてスーリアの前に立った。
「スー、これを貰ってもいいか?」
アルフォークはマーガレットの花を何輪か摘んでいた。スーリアが頷くと、アルフォークは微笑で「ありがとう」といい、そのうちの一輪を差し出した。スーリアはアルフォークに差し出された一輪のマーガレットを受け取ると、首をかしげた。