転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
 にこっと笑うルーエンはあの時の少年のままに大人になったようだとマニエルは感じている。
 屈託のない笑顔は男性なのに可愛らしく見え、元々たれ目の目尻は笑うと更に垂れ下がる。マニエルはそんなルーエンの笑顔を見るたびに胸がキュンとするのだ。

「いえ、いつでも歓迎しますわ」
「そう? ありがとう。はい、これをどうぞ」

 ルーエンは手に持っていた花束をマニエルの前に差し出した。中心を包み込むようについた沢山の花びらが鞠のようにみえるその花を見てマニエルは頬を緩めた。淡いピンク色がなんとも可愛らしい。

「まあ、可愛いわ」
「マニィが気に入ってくれたならよかった」
「え?」

 マニエルは思わず聞き返した。今、聞き間違え出なければ『マニィ』と言わなかっただろうか?
 ルーエンはいつもマニエルをそのまま『マニエル』と呼んでいた。呼び方一つの違いだが、花のプレゼントと相まって二人の関係がぐっと進んだような気がした。

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