転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「れ、連載小説を読んだり、刺繍をしたりしてますわ」
「連載小説? 前に話していたものかな?」
「はい。今度はまた面白い展開になるようです。なんでも、主人公の騎士様が二人の恋人に愛を示すために手料理を振る舞うそうで」
「ははっ……。それはまたアルが発狂しそうな展開だ」

 ルーエンの乾いた笑い声が響く。マニエルはすっかりと赤くなった顔を隠すために俯いた。

「マニィ? どうした? 体調悪い?」

 ルーエンは俯くマニエルを怪訝に思ったのか、顔を覗きこんできた。いつもより近い距離にマニエルの胸の鼓動は早鐘を打っていた。

「んー、ちょっと火照ってるかな」

 ルーエンはマニエルのおでこに手をあてると僅かに眉根を寄せた。大きな手がマニエルの肌に触れる。手はひんやりとしていて心地よかった。

「どう? 治癒魔法かけたんだけど。あれ……?」

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