転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「リアは王宮に行ったはいいものの、沢山いる上流階級の綺麗なお嬢さま方に圧倒されて落ち込んで帰ってくるんじゃねえか? 特に、王女様は天使みたいな美人らしいぜ? 」
「まあ! 酷いわ、リジュ!!」
スーリアはリジェルの言いように頬を膨らませた。リジェルはケラケラと笑っている。
「落ち込んだら俺が慰めてやるよ」
「必要ありませんよーだ! それじゃあまたね、リジュ。次は明後日くるわ」
スーリアはリジェルにあっかんべーをしてパン屋を後にしたのだった。
家に帰ったスーリアは部屋でクローゼットを前に思い悩んだ。
土をいじって花を育てに行くのだから、汚れてもいい格好で行くべきだ。汚れてもいい格好と言うと、スーリアが普段から花や野菜をいじるときに着るシンプルなワンピースになる。
しかし、何となくリジェルの『上流階級の綺麗なお嬢さま方』とか、『天使みたいな美人』と言う言葉が頭をよぎった。
──王宮にはやっぱり綺麗に着飾ったお嬢さま方が沢山いるのかな?
──いつものワンピースで行ったら恥をかいちゃうかしら?
──その中でも王女様は一番きれいなのかな……。
そこまで考えてスーリアは頭を振った。