転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「花を育てに行くのだから、それに相応しい格好で行くべきよね」

 自分は花を育てるために王宮に呼ばれたのだ。舞踏会に呼ばれた訳では無い。

 スーリアはいつものシンプルなワンピースに着替えると、髪も汚れないように一つに纏めてくるりとシンプルにまとめ上げた。


 ***


 馬車で迎えに来たアルフォークに連れられて初めて足を踏み入れた王宮は豪華絢爛な場所だった。 

 リアちゃんの記憶を辿っても王宮を訪れた記憶はおろか近づいた記憶すらなく、本当に人生初のようだ。敷地の入り口には五メートルはありそうな大きな門があり、そこをくぐると更に石畳の道が続いている。門をくぐったにも関わらず、宮殿は遥か遠くに見えた。

「凄く大きいのですね」
「ああ。俺は西の端の魔法騎士団の詰め所に普段はいて、ルーは東の端の魔術研究所にいる。ルーに会いに行くには宮殿を端から端まで歩く必要があるのだが、早歩きでも三十分近くかかるな。一旦宮殿を出て馬を使った方が早いくらいだ」
「三十分!」
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