転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「でも、私の身体はあなたに渡すから安心しているわ」
「私に身体を渡す?」

 眉をひそめる恵に対し、リアちゃんは大きなエメラルドグリーンの瞳を細めてニコリと微笑んだ。 
 隣にいた大きな自称女神様が恵をのぞき込み、改めて説明を始めた。

「まず、私は先ほども言ったとおり、この世界の創造の女神よ。そしてこちらはリアちゃん。
 リアちゃんの記憶から理解したと思うけど、この世界は表と裏があるわ。表側は私が創造した人間達の世界、裏側は私の友人が創造した別の世界よ。この表側と裏側の住民はどうも相性が悪いのよ。時折空間に歪みが発生して穴が開くとそれぞれの住民──この場合は人間と人間によって魔獣と呼ばれる存在になるわ──はすぐに喧嘩を始めてしまうの。

 私も友人も基本的に下界で起こっていることには関わらず、何千年、何万年もの間ただ彼らを見守っているだけだった。でも、ここ最近なぜか──まあ、経年劣化だと思うけど──空間の歪みが多くなってきて、双方の世界の住民が反対側の世界に迷い込むことが多くなってきたの。
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