転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
    ◇ ◇ ◇


 王宮で花を育てる作業は順調だった。
 必要な資機材は全て用意されていたし、畑を耕す作業もルーエンが魔法で一瞬で終わらせてしまった。種や苗も用意されており、わからないことがあればミリーが親切に何でも教えてくれる。まさに至れり尽くせりだ。

 スーリアは今日も機嫌よく花畑の空いている場所にルーエンから支給されたコスモスの種を植えていた。

「やあ、何しているの?」

 土に指で穴をあけていると頭上から声が降ってきて、スーリアはびっくりして顔を上げた。目の前にいたのは若い男性だった。こちらを見下ろす男性の金色の髪が太陽の光でキラキラと輝いている。

「花の種を植えています」
「へえ。なんの花?」
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